犬猫の慢性心臓病とは
中年齢以後の犬で発症することのある、進行性の心臓機能障害です。心臓のどの部位が障害されるのかによって病名が付き、最も有名かつ多いものが”僧帽弁閉鎖不全症”と呼ばれる弁膜症です。
弁膜症はそれ以外にも、大動脈弁や肺動脈弁といった部位に発症する事があります。また、心臓の筋肉に異常が発生する”心筋症”や、心臓の動き(拍動)を司っている電気信号に異常が発生する”不整脈”など、様々な疾患がこのカテゴリーに含まれます。
慢性心臓病を疑う症状としては、
①疲れやすい(お散歩時間の減少、活動時間の減少)
②咳込む事がある(明け方と夜中が多い、運動後に多い)
③呼吸が荒い(寝ている時に30回/分以上、日常的にはぁはぁ)
④失神する(千鳥足気味になってドタっと倒れこむ)
などが挙げられます。が、一見元気で何も問題のなさそうな子でも、ワクチン接種などの健康チェック時に見つかってしまう事が多い印象があります。
殆どの慢性心臓病では、まず聴診した際の心音に異常が認められますので、身体検査(聴診)を行った後にレントゲン検査・心臓超音波検査・心電図検査を用いて診断を行います。場合により、追加検査として血液検査を行う事もあります。さぎのみや動物病院では慢性心臓病の治療にあたり、まず飼い主様にも”この子の心臓病とは一体どういう状態なのか”という事をお話させていただき、可能な限り分かりやすく治療プランの説明を行います。基本的には、心臓の何が悪いのかを診断・データで評価を行った上で、内服薬を用いた治療を提案しています。
1)ACE阻害薬:心臓病による様々な悪影響を緩和します
2)強心薬:心臓の筋肉の力を強めるお薬で、負担の大きな心臓を助けるために使用します
3)利尿薬:尿を増やし、血液量を減らす事で心臓の負担を減らす事が出来ます
4)降圧薬:血管を広げて、血液を流れやすくする事により心臓の負担を減らす事が出来ます
5)抗不整脈薬:不整脈のタイプにより幾つかの種類があります
良く使われるのは上記5種類ですが、全てを使うわけではありません。患者さんによってまちまちではありますが、大体の目安として、
初期:0〜1種類
中期:1〜3種類
末期:3〜5種類
の内服薬を提案する事が多いです。また昨今では一部の心臓病は手術で治す事が現実的となってきています。皆様ご想像の通り、その費用は決して安いものではありませんし、リスクも大きなお話になってしまいますが、検討しても良いレベルに治療水準が上がってきました。
当院所属の獣医師には、心臓外科手術を行う医療チームSACSの研究員が居るため、心臓手術施設への紹介や、手術施設からの治療の引き継ぎなどを行う事ができます。うちの子が心臓病と診断されたけれどいまいち良く分からなくて……とお悩みの方や、本当にこの治療でいいのかな、など悩まれている方も多くいらっしゃると思いますが、セカンドオピニオンにも対応していますのでお気軽に相談にいらして下さいね。
おおよその費用の目安
レントゲン検査:胸部レントゲン2−3枚 4400円
超音波検査:心臓エコー検査 初回5500円
継続3850円
血液検査:採血料+生化学3〜4項目 2640〜3300円
(心臓病マーカー検査は外部委託 +5280円)
心臓検査の時間の目安
レントゲン検査:10分〜
超音波検査:20分〜
(※胸部の毛刈りをする必要がある場合があります)
☆検査にあたり、予約の必要はありません
☆飼い主様のご都合により、ワンちゃんを預けていただき、お迎えに来る迄に検査をする、というような形も承ります
☆診療混雑の際は、お預かりして昼休み中の検査を相談させていただく場合があります
セカンドオピニオン対応しています
いままでの検査データや、いま飲んでいるお薬をご持参いただけると幸いです。